誰だって仕事に行く人はある程度体調が悪いのでは

朝、目が覚める。
体が重い。頭が痛い。気分が晴れない。
それでも、私たちはいつものように着替えて、電車に乗り、職場に向かう。
まるで「元気であること」が前提のように社会は回っているけれど、実際には——誰だって、少しずつ体調が悪いまま働いている。

社会人になってからというもの、「100％の体調」で仕事に向かえる日なんて、何日あるだろう。
寝不足、肩こり、頭痛、気分の落ち込み、人間関係のストレス。
どれか一つでも当てはまる日がほとんどではないだろうか。

それでも私たちは、出社して、笑顔をつくり、メールを返し、会議に出る。
つまり、“少し調子が悪いのに頑張っている人”こそが、社会の大部分を支えているのだ。

誰かだけが特別にしんどいわけではない。
みんな、どこかしら不調を抱えながら、それでも一歩を踏み出している。
それが社会という仕組みの「現実」であり、同時に「優しさが必要な理由」でもある。

会社で周囲を見渡すと、元気そうな人ばかりに見える。
上司はテキパキ働き、同僚は軽口を叩き、後輩は明るく挨拶してくる。
そんな中で、自分だけがつらいような気がして、自己嫌悪に陥ることもある。

でもそれは錯覚だ。
人は「元気に見せる」ことが上手だからだ。
社会で生きるために、誰もが仮面をつけている。
心がすり減っていても、疲れが溜まっていても、笑顔を作る。
それが「社会人」と呼ばれる人たちの共通点でもある。

だから、あなただけがつらいわけではない。
みんな、心や体のどこかに痛みを抱えながら、それでも今日も生きている。

朝、つらくても会社に行った。
それだけで、もう十分すごいことだと思う。

体調が悪いとき、人は本能的に「休みたい」と感じる。
それでも出社するというのは、気力を振り絞って社会と向き合っているということ。
本来なら、それは“称賛に値する行動”なのに、私たちはそれを「当たり前」として扱ってしまう。

会社に行くことを「普通」だと思わないでほしい。
それは、“小さな奇跡”のような努力なのだ。
あなたが今日そこにいるだけで、誰かは救われているし、仕事は回っている。

問題なのは、「みんな我慢しているんだから自分も我慢しよう」という発想だ。
そうではなく、「みんな少しずつ不調なんだから、お互いに優しくしよう」と考えてみてほしい。

たとえば、ちょっと疲れてそうな同僚に「大丈夫？」と声をかける。
誰かがミスしたときに、少しだけ寛容になる。
自分がつらいときは、正直に「今日はあまり調子が出ない」と伝える。

そんな小さな優しさの連鎖が、職場の空気を変えていく。
それが、“病んでも働く社会”を少しずつ柔らかくしていく一歩になる。

私たちはいつの間にか、「常に元気でいなければならない」と思い込んでいる。
でも本当は、元気でなくてもいい。
少し体調が悪くても、気持ちが沈んでいても、それは“人間らしい”状態だ。

「今日は集中できない」
「気分が晴れない」
そんな日があるのは自然なこと。
それを否定せず、「まあ、そういう日もある」と受け入れてみよう。

完璧な自分を求めるより、ボロボロでも立っている自分を褒めたほうが、ずっと健康的だ。

この社会は、完全に元気な人を前提につくられていない。
むしろ、みんながどこか痛みを抱えながら、それでも生きている。
だからこそ、「誰だって体調が悪い」という前提で人と接することが大切だ。

朝の通勤電車で疲れた顔の人を見たら、「ああ、みんな頑張ってるな」と思えばいい。
自分がしんどい朝は、「今日は無理せず、淡々と過ごそう」と思えばいい。

誰も完璧ではない。
そして、完璧じゃなくてもちゃんと社会は回っている。

だから、あなたも無理をしすぎないでほしい。
体調が悪い日も、気分が落ちる日も、それでも生きてるだけで、ちゃんと意味がある。
今日もよく頑張っている。
それだけで、もう十分だ。

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